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デザインウィーク京都2019 視察日記

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京都に行ってきました!はじめてのデザインウィーク京都。京都のデザインウィークは、京都中の伝統工芸の工房が、この期間だけ特別に見学可能となり「オープンラボ」と化す、面白いイベントです。京都の伝統と技術の規模の大きさを感じました。
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日本はけっこうどの街に行っても、「古い産業や文化と、新しいアイデアが共存してていいな」と感じるのですが、京都はその「古い部分」の深さがぜんっぜん違う!と思いました。例えば見学した工房だけでも、天皇家がお召しになったこともある京友禅の工房、名だたる舞台衣装を代々特注で作ってきた染工場、平安時代の版画を再現する技術のある印刷工房、観音様や大仏様を精密に復元するためのCTスキャナーを所有している技術工房などなど…。日本を代表する文化としての誇りの高さを感じます。

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どの伝統工芸も、現代では需要そのものが減っているので、その技術を「現代に」活かす工夫がされていました。今まで卸業として受注するだけだったのを、オリジナルブランドを立ち上げたり、現代の生活に取り入れられるプロダクトにデザインし直して販売したり。その「現代への活かし方」にも、センスとノウハウがいるなぁと思います。
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同時に、どの伝統産業も、「この人物・この技術屋ありきで、それがなくなってしまえば続けられない」という瀬戸際にいるような気がしてしまいました。例えば京都の染め業界は、基本的に分業でやってきたそうです。染め→蒸し→洗い→乾燥、各工程を違う職人が担っているのですが、職人の数は減っていて、1つでも潰れたら成り立たなくなる。また、別の工房は、1人の有名絵師のデザインに頼っているため、その方が亡くなってしまったらどうなるかわからない。モヤモヤしたのは、これほど稀有な技術を持った京友禅の職人さんですら、それ一本で食べて行くのが(最初はなかなか)難しいという現実。京友禅は百貨店に並ぶ頃には卸値の何倍も跳ね上がって、商社さんのマージンがものすごく乗っかっているそうです。落合陽一の本に「商人(商社)は今の時代にそぐわない」的なことが書いてあったけど、そこは技術とネットワークとアイデアと工夫で無くしていけるような気もします。京都らしい保守的なところも、正直感じました。ビジネスとして確実に続けて行くのであれば、きっともっとうまいやり方がある。それでも、「お家を守る」的なところを最も大事にする、京都の市民性みたいなもの。それは歴史の深さならではですね。

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街をそぞろ歩いているだけでは、「伝統が商品として新しくリニューアルされたもの」しか目にすることはなく、それはキラキラ輝いて見える。こんな機会でもなければ、京都の伝統の「今の現場」を肌で感じることはできなかったと思います。京都デザインウィークとても刺激になりました!*見学したところ*便利堂(コロタイプ印刷)亀田富染工場(捺染)キャステム LiQ(3Dプリント)TAKENOKO(竹細工)山元染工場(型友禅)富宏染工(手描き友禅)MTRL京都(fab cafe)※デザインウィーク参加外

by sayakoro21 | 2019-02-25 16:59 |

福岡のデザイナー・イラストレーター、Sayako Tachi が綴る旅と日常のつれづれ。「アンテナのある暮らし、アイデアのある毎日」をモットーに、日々感じたことを残していきます。


by sayakotachi